氷室神社文化興隆財団

高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦

高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦

毛利和雄:著 日本放送出版協会

多くの国民に高松塚古墳壁画の劣化は大きな衝撃を与えました。壁画発見から三〇数年たち、現地保存から”解体修理”へと方針の転換が行われ、壁画を修復し、修復終了後石室を修復して壁画をもとに戻すことになります。

著者も、保存科学とは文化財を未来永劫にわたって保存することを目的とし、試行錯誤は許されないものだと思い込んでいたといいます。ところが、専門家の記念講演を聞き、モノは必ず劣化するので保存科学の目的は未来永劫保存していくことではなく、劣化のスピードをいかに遅らせるかであると教えられ、おのれの不明を恥じたといいます。

遺跡は現地保存が原則だが、技術が見出せなければそれは実現できないのであって、現実に壁画保存の方策を探っている担当者にとっては、理念だけでは問題の解決策を見出すことはなかなか難しいです。

壁画の劣化の問題も、劣化した要因は何か。壁画の現地保存が果たして可能であったのか、これからの検証が必要だといいます。