大学的奈良ガイド―こだわりの歩き方
本書は旅行ガイドの奈良本には書かれていない奈良を多角的に紹介しています。奈良に関する視点が一つ増えれば、奈良像も一つ増えることになりますが、この「視点」という言葉を「面白さ」に読み替えてほしいともいいます。
この本を生み出したのは、奈良女子大学の「なら学プロジェクト」で、奈良の特性を現代的視点から読み解き、その成果を外部に発信する活動をしています。本書もその成果の一つで、同大学の教員三〇名が執筆しています。
まず、自然環境を概観してそこに繰り広げられる大和人の営みを俯瞰し、川や特産物などから奈良の人々の生活や日常風景を点描しています。また、平城京の解説や法隆寺の近代史、あるいは現在に残る民俗から奈良の魅力を語り、社寺曼荼羅やレジャーランド、敗戦後の奈良などを取り上げ紹介しています。
本書は、奈良のイメージそのものを解剖するなど、現代の奈良を考える多くの視点を提供してくれるとともに、奈良のイメージの壁を取り払ってくれる爽快感があります。