氷室神社文化興隆財団

図説飛鳥の古社を歩く―飛鳥山辺の道

図説飛鳥の古社を歩く―飛鳥山辺の道ー

和田萃文/森和彦写真 河出書房新社

著者は、古代の地名や歴史、風土や景観、信仰などを知る手がかりは、古寺よりも古社の方に多いといいます。しかし、古社は、著名な神社についての解説はあるが、ささやかな神社への言及はほとんどありません。

そこで本書では、飛鳥とその周辺地域と山辺の道に沿う地域に分けて古社を訪ね、その立地や祭神、周辺の景観などにふれながら神社が祀られるに至った歴史的背景を述べます。

たとえば、三輪山の祭祀の移り変わることや、石上神宮が武器庫であった背景に、大和王権との関わりに話が及びます。また、飛鳥川の水神を祀る飛鳥川上坐宇須多伎比賣命(あすかのかわかみにいますうすたきひめのみこと)神社や加夜奈留美命(かやなるみのみこと)神社、渡来人に関係のある於美阿志(おみあし)神社、呉津孫(くれつひこ)神社、穴師坐兵主(あなしにいますひょうず)神社、葛城御歳(かつらぎのみとし)神社などの説明も興味深いです。

最後にその社格をあらわす式内社(しきないしゃ)についての基礎的な知識をわかりやすく解説しています。古社をはぐくんだ風土や歴史にも言及し、著者の感慨などを交えて解説します。古社めぐり必携のガイドブックです。