氷室神社文化興隆財団

体を使って心をおさめる修験道入門

体を使って心をおさめる修験道入門

田中利典著 集英社

奈良県南部の大峯山系は、修験道の中心的霊場となっています。著者はその吉野・金峯山寺の宗務総長です。平成16年には、吉野・大峯、熊野三山、高野山の三つの霊場と、大峯奥駆道、熊野参詣道、高野山町石道の三つの参詣道が、『紀伊山地の霊場と参詣道』として世界文化遺産に登録されました。

かつて山伏はあちこちに17万人ほどいましたが、明治の初めに「神仏分離令」や「修験道廃止令」によって姿を消しました。その後は、細々と役行者(えんのぎょうじゃ)時代からの修行法を受け継いできましたが、世界遺産登録は、修験道への注目を高めるきっかけとなりました。

日本では古くから山を神霊の宿る聖地としてきたため、山や森の世界に入ることは、聖なるものからエネルギーをいただくことであるという考えを生み出しました。

修験道は、神仏和合の世界や人間と自然との関係性の中で自分自身を見出すのであり、大切な自分らしい生き方や神と仏の風土を取り戻すことです。

今日、山伏修行の世界を体験することは、現代人の心身のバランスを取り戻すのにたいへん役立つと思われます。まずは一読をお勧めします。