儀礼にみる日本の仏教―東大寺・興福寺・薬師寺―
本書は、東大寺、興福寺、薬師寺に焦点をあてて、奈良女子大学で開催された「南都の法会」の講演記録集です。この講演会は、同大学の「古代学学術研究センター」が実施した「南都における法会の総合的研究」の成果の一部です。
宗教儀礼としての法会と法会の勤修(ごんしゅう)を支える寺僧の教学活動の研究はまだあまり進んでいません。それは、法会を構成する要素が実に多彩であることにもよります。今後、法会の全体像を知るには、政治経済的な、また文化史的な歴史学はもとより、仏教学、国文学、建築学、美術史学、音楽学、服飾学などの共同研究、学際研究が必要だといいます。
巻末にはより深く知りたいひとのために、書籍・論文関係資料、映像・音楽関係資料の目録と法会の理解に必要な用語解説が載せられています。
本書は、この奈良文化の核心部分である寺院の法会の秘められた世界にさまざまな角度から光をあてたものです。まさに今後の研究が期待される法会学入門の決定版といえます。