氷室神社文化興隆財団

唐招提寺 匠が挑む

唐招提寺 匠が挑む

玉城妙子:著 小学館

唐招提寺金堂は、阪神淡路大震災を契機に、保存修理実施への機運が高まり、今回の大解体保存修理事業となりました。事前調査の段階から5年、作業開始から2年3ヶ月を経た2003年11月、金堂はすべて解体されました。

その後、基壇の発掘や建築部材の調査が続けられる中で、金堂の建立時期が、宝亀年間(770~780)ではなく、延暦年間(782~806)まで下るという事実が判明しました。

2005年3月には、立柱式が厳かに執り行われ、金堂の組立工事がはじまりました。金堂は、明治期に改修された屋根構造を継承し、新たな補強部材を加えて組み立てられ、2009年に完成の予定となっています。

この解体保存修理に密着取材された著者は、「この貴重な建造物を守り続けるため、結集された人々の知恵と技を知ることも大切なこと」といい、解体調査で明らかになった創建当時の様子や修理の歴史を興味深く語っています。