シリーズ歩く大和 古代中世史の探求
大和は遺構や遺物、古文書や古記録、習俗や景観など多種多様な史料が、濃密に残された地域の一つです。この大和の古代・中世史を広く深く理解するために、「大和を歩く会」が発足。本書は、このメンバーが、実施した踏査のなかで、気付き、考え、誘発されたことをまとめた論文集です。
三輪山の祭祀の変遷から大和政権をみる論考や、飛鳥寺西にあった槻の木の位置を探求したもの、古代の「米」と「飯」の支給について論じたもの、八世紀に灯明器を用いた燃灯供養が広く行われていることを明らかにしたものがあります。
ほかにも、平城京廃都後の平城宮の故地を管理する荘園の存在を明らかにしたものや、廃都となった平城京の一部の大路が維持されたことに注目した論考、十二世紀ごろ奈良の入り口にあった「法華寺の鳥居」なるものについて論じたもの。十津川村の玉置神社が、中世には近世と異なる信仰を持っていたことを明らかにしたもの、北浦定政の平城京研究の成果が、早くから注目されていた事実を述べたものなどがあります。
内容は多岐に渡り、興味深い大和のいろんな問題を提示しています。