―奈良大和路―祈りの回廊をゆく 奈良町・高畑界隈
本書は、奈良町・高畑界隈の信仰にまつわるスポットを紹介しています。
著者は、奈良町を辿るならまずは元興寺の極楽坊や塔跡だといいます。元興寺は、古代の大伽藍が極楽往生を願う庶民信仰の中心的な場になっていきます。周辺寺院のほとんどが、もと元興寺の子院でした。また、この町に流れる長い時間の中で、御霊神社や崇道天皇社のように怨霊は守り神になりました。一方、中将姫ゆかりの寺院である徳融寺、安養寺、誕生寺は、多くの逸話を加えながら守り伝えられてきました。
高畑界隈は、かつて春日大社の社家町であり、近代では文豪志賀直哉をはじめ、多くの文化人が訪れ、居を構えました。洒落たデザインの家々と奈良町同様の町屋や歴史ある社寺との調和が魅力的です。石仏や、かつての修行場と思われる場所が点在する山道は、忍辱山を経由して柳生へとつながっていきます。
本書では、おもに漢国神社、率川神社、伝香寺、福智院や頭塔、不空院など小さなお寺や神社などを紹介します。奈良をもっと知りたい人にお勧めのガイドブックです。